温かみある肌触り、豊かな香り———古く縄文時代から、日本人の暮らしの中に取り入れられてきた木材。長く親しまれてきた材料であり、現在では身体にも良い影響を与えてくれることがさまざまな調査によって証明されています。
ひんやりとした床に直接触れないようにタイルやコンクリートのバスルームでは、木製のすのこが使われてきました。これはコンクリートなどが木材に比べて熱伝導率が高く、急激に体温を奪うから。熱の変化が伝わりにくい木材を直接手や足が触れる所に使うことで、より快適な空間となります。
木材は空気中の湿度が高い時には水分を吸収し、低い時には水分を放出する「調湿作用」を備えています。そのため内装に木材をふんだんに使うと室内の湿度の変動が小さくなり、結露の防止などにも一役買ってくれるのです。
特別養護老人ホームでの調査では、木材が多く使われている施設の方が、少ない施設に比べてインフルエンザや転倒による骨折、不眠などの発生率が低いという結果が出ています。木材は抵抗力や体力が低下しているお年寄りにもやさしい空間造りに役立っています。
木造、鉄筋コンクリート造、内装木質の各校舎におけるインフルエンザでの学級閉鎖の調査では、木造や内装木質校舎が鉄筋コンクリート造校舎に比べて1/3〜1/4と少なく、木の空間の快適さが分かります。これには木材が持つ高い断熱性や調湿作用が大きく関係していると考えられます。